当院では、必要に応じてX線(レントゲン)検査とMRI検査による画像診断を行っていますが、それぞれの検査はどう違うのか、と質問されることがあります。
そこで、今回はX線検査とMRI検査の違いについて簡単に説明していきたいと思います。
まず、X線検査は、放射線の一種であるX線を体に照射して画像化する検査です。身体の内部の骨の状態を評価するために使用され、骨折や関節の変形などを確認するのに適しています。ただし、一方向からX線を照射し、画像化するため、詳しく診るためには体の向きを変えたりしていろんな角度から照射する必要があります。1回1回のX線照射時間はとても短いため、どこの部位を何回照射するかにもよりますが、大体5~10分程度で検査は終わります。
次に、MRI検査は、磁気共鳴イメージングの略で、磁場と電磁波を使用して身体の内部の構造を画像化する検査です。X線検査と違い、放射線を使用しない為、被ばくすることはありません。
X線検査は一方向からの画像に対して、MRI検査は身体を輪切りしたような任意の断面像を得ることができます。そのため、病変と身体の内部の組織や臓器との前後左右の位置関係が把握しやすいです。また、筋肉や軟骨、臓器などの軟部組織や神経組織などの描出に優れているため、脊椎や軟骨の損傷などを診断するのに適しています。さらに、出血や炎症などの変化も描出できるため、X線検査だけでははっきりとしなかった骨折(隠れ骨折)などの診断にも役立ちます。ただし、強力な磁場と微弱な電磁波の変化によって画像化しているため検査時間は長く、大体15~30分程度かかります。
つまり、X線検査は骨の状態(骨折や変形など)を評価、MRI検査は軟部組織や神経組織などの詳細な情報を描出するのに適しており、どちらの検査も整形分野で重要な役割を果たしています。どちらの検査にもメリット・デメリットがあり、症状や状況に応じて、医者が適切に判断し、必要に応じてどちらの検査も組み合わせながら診断していきます。
ただし、妊娠中の方やペースメーカー装着の方など検査が禁忌の場合もありますので、疑問な点は診察時にご相談ください。
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