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 医療の世界ではサルコペニアやフレイルといった高齢者の筋肉減少が注目されるようになり、集中医療の世界では筋肉量減少、能力低下が問題視されるようになりました。


 “筋肉が不足している”、“筋肉をつけないと”などよく聞く言葉ですが、筋肉は簡単には鍛えることが難しい組織です。その一方で、一度病気になると筋肉は大幅に減少します。2 週間の集中治療ではおよそ 15 ~ 20 % 減少すると言われるほどで、大病でなくても病気による異化と運動量の減少により程度の差はあれ減少します。


 その為、やみくもにトレーニングを行うのではなく、正しいトレーニング方法と適切な栄養管理方法を理解し実践することが非常に重要です。今回は筋肉と栄養の関係性について解説していきます。


 栄養は筋合成の最も重要な要素になります。栄養が消費を上回れば筋同化(筋肉をつけるために必要なタンパク質の合成)に傾き、栄養が足りず消費が栄養を上回れば筋異化(内臓等生命活動の維持に必要な栄養を筋肉の分解で補填する合成)に傾きます。大げさに言うと

筋肥大には運動よりも栄養が大事になります。しかし、運動せず栄養の取りすぎは脂肪も相当ついて太ってしまうため、最も重要なのは栄養であるものの運動と合わせることが肝要と言えます。


 栄養には 3 大栄養素と言われる炭水化物、脂肪、タンパク質があります。これらの栄養素は代謝が異なり役割も様々な違いがありますが、筋合成や筋以外の体形性を行う上ではタンパク質が最も重要になります。しかし、タンパク質だけを摂取していても、他の栄養素が不足している場合は結局エネルギー源として使用され筋合成には使われません。


 その為、基礎代謝量を含めた必要消費量分のエネルギーをバランス良く確保し、そこからタンパク質を取ることが重要です。


 基礎代謝量や必要消費量分のエネルギー量は年齢、筋肉量、活動量、性別等によって差はありますが、大まかな目安を理解しそこから自身に当てはめていくことが必要です。興味のある方は一度調べてみると良いかと思います。自身の必要なエネルギー量を理解した後は筋力トレーニングで筋力を鍛えていく段階に入ります。栄養管理や筋力トレーニングはどちらも継続的に行うことで効果が発揮されます。1 日や 1 週間などの短期目標ではなく、長期目標として実行できそうな範囲で行うことが重要です。



 初心者の方に対して筋力トレーニングを行う上で重要なポイントを記載しますので、筋力トレーニングを行う際の参考にしてみてください !!


①    筋肉の運動に収縮性運動(関節を曲げて行う運動)、伸縮性運動、(関節を伸ばして行

う運動)、等尺性運動(関節を動かさずに行う運動)を混ぜて行う。


②    単関節及び多関節のフリーウェイト及びマシン運動を取り入れること。


③    週 2 ~ 3 回の運動を行う。( 1 回 1 回で全身のワークアウトを行う)


④    セット間インターバルを 1 - 2 分取る


※回数やセット数、負荷量は自分の状態に合わせ増減させて調整してください。運動は痛みがない程度に無理せず行うことが大切です。





引用文献


 整形外科ガイドライン 2009

 急性期のリハビリテーションと栄養療法 筋トレのエビデンスから考える

 ここがポイント!整形外科疾患の理学療法 改訂第 2 版 

 協同医書出版社 理学療法ハンドブック第三巻

 
  • 2024年10月5日

蜂窩織炎とは? 

 突然、ぶつけたわけでもないのに、手や足が赤く腫れて痛みや熱感が出ることがあります。蜂窩織炎とは、皮膚や皮下組織に急性の細菌感染が起こる病気で、主に、溶血性連鎖球菌や黄色ブドウ球菌といった細菌が原因となります。


 蜂窩とはハチの巣のことで、顕微鏡で炎症を起こした組織をみると、ハチの巣の仕切りのようにみえることから由来しているそうです。患部の皮膚が赤くなり、次第に範囲を広げながら、腫れ、熱感、痛みなどの違和感が現れます。


 手足に最もよく生じますが、体のどの部分にも発生します。自然に治ることはなく、放置していると重症化することがあるため、医療機関での治療が必要です。

                    

蜂窩織炎の症状

 初期の段階では、皮膚に赤み、はれ、熱感、ムズムズ感があり、触ると痛みが生じます。

皮膚の赤みは境界線が不明瞭で、ぼんやりと広がっていきます。


 症状は急速に広がり、痛みが強くなります。炎症によるダメージが強い中心部は、壊れた細胞から出た浸出液がたまって、ブヨブヨと柔らかく変化します。進行すると、倦怠感や頭痛、発熱、寒気、関節痛などの全身症状が見られます。


蜂窩織炎の原因

 多くの場合、皮膚にできた小さな傷から細菌が皮膚の深部に侵入し、増殖することで起こります。ただし、明らかな傷が無くても発症することもあります。


 健康な皮膚では、皮膚に覆われているため、細菌などの外敵の侵入を防いでいますが、ケガ、皮膚炎や虫刺され、動物に咬まれる、水虫(白癬)、皮膚のひび割れなどによって皮膚が傷つくと、細菌が侵入し、蜂窩織炎の発症のきっかけになることがあります。


 蜂窩織炎は感染症ですが、人から人へうつる病気ではないので、患者に接触しても感染しません。糖尿病などの持病によって身体の抵抗力が弱っている人や、がんの手術などによってリンパ節を切除してリンパの流れが悪くなっている人は蜂窩織炎を発症しやすく、重症化のリスクも高くなります。


治療法

 蜂窩織炎を放置していると急速に重症化し、重篤な感染症に進行することもあるため、早期に治療を受ける必要があります。


 患部に冷たい濡れタオルを当てることや、保冷剤をハンカチや布にくるみ、患部に当てるなどして冷却するなどの処置をして、できるだけ早く医師の診断を受けましょう。

患部を温めたり、マッサージをしたり、飲酒をしたりすることは症状を悪化させる恐れがあります。


 蜂窩織炎と診断されたら、抗菌薬の飲み薬や点滴による薬物療法を行います。症状が楽になったからといって途中で治療をやめてしまうと重症化することがあります。自己判断で治療を中断することはやめましょう。                  

                            

予防法

〇皮膚のケア:毎日きれいに洗うことや、肌の保湿ケアなどで、日ごろから皮膚の清潔を維持し、バリア機能を高めておくことで、細菌の侵入を防ぐことが肝心です。


〇傷の適切な処置:小さな傷や擦り傷ができた場合でも、早めに消毒し、ガーゼや絆創膏で覆い、清潔を保ちましょう。


〇免疫力を高める生活:栄養バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠を心掛け、免疫力を維持することが大切です。

            

引用文献

田邊三菱製薬ヘルスケア

参考文献

厚生労働省 介護現場における感染対策の手引き




 


 今回は、日々の診療業務中でよく聞かれる「この検査って何なの?」という質問に答えるべく、骨塩定量検査についてまとめたいと思います


 骨塩定量検査は、骨密度を測定する検査の一種で、主に骨粗鬆症や骨折のリスクを評価するために用いられます。骨密度は骨の中に含まれるカルシウムやその他のミネラルの量を示し、骨の強度や健康状態を反映します。この検査は、骨がどれだけ密であるか、すなわちどれだけのカルシウムが含まれているかを測定することで、将来的な骨折のリスクを予測し、骨粗鬆症の診断や治療効果の判定に役立てられます。


 骨塩定量検査にはいくつかの方法があり、最も一般的なのが「DXA(デキサ)法」(Dual-energy X-ray Absorptiometry)です。DXA 法では、低用量の二種類のエネルギーの X 線を使用して骨密度を測定し、当院でもこの DXA 法の骨塩定量検査を行っています。


 他の方法としては、超音波を利用する「超音波骨密度測定」や、CT スキャンを応用した「QCT(Quantitative Computed Tomography)」などがあります。超音波法は主にかかとの骨密度を測定するのに用いられ、放射線被曝がないため安心して受けられる一方、DXA 法に比べて精度が劣る場合があります。QCT は三次元的に骨の密度を測定できるため、より詳細な情報が得られますが、被曝量が多くなるというデメリットがあります。


 骨塩定量検査は、特に閉経後の女性や高齢者にとって重要です。


 閉経後の女性はエストロゲンの分泌が減少することで骨密度が急激に低下しやすくなり、骨粗鬆症のリスクが高まります。また、高齢者は加齢に伴う骨の劣化やビタミン D の不足が原因で骨密度が低下しやすくなります。このような人々に対して、骨塩定量検査を行うことで、早期に骨密度の低下を発見し、適切な治療や予防策を講じることができます。


 さらに、骨折を経験した人や骨粗鬆症の家族歴がある人、特定の薬物を長期間服用している人なども、定期的な骨塩定量検査が推奨されます。この検査によって得られたデータは、医師が骨の健康状態を評価し、治療方針を決定するための重要な指標となります。


 骨塩定量検査は、定期的な検査と適切な対策を取ることで健康で活動的な生活を維持するために欠かせないものとなっています。検査希望の方はすぐ受けられるので、当院の受診を検討してみて下さい。

 
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